看護師国家試験 2014年度(第104回)午前 第 61 問
肺高血圧が長期に持続し、肺血管抵抗が上昇することにより、短絡血流が主に左右短絡から右左短絡になった状態はどれか。
1. 拡張型心筋症 (dilated cardiomyopathy)
2. 総肺静脈還流異常症 (total anomalous pulmonary venous return)
3. Fallot〈ファロー〉四徴症 (tetralogy of Fallot)
4. Eisenmenger〈アイゼンメンジャー〉症候群 (Eisenmenger syndrome)
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看護師国家試験 2014年度(第104回)午前 第 61 問
解答:4
解説
先天性心疾患(生まれつき心臓の構造異常があること)は型も多く、数自体が多くなく、それでいて個々の心臓の動態の理解が複雑なため、理解しにくく、また暗記しにくい分野です また、小児病院や、小児心臓外科に関わらない限りお目にかかることすら珍しいため、なじみも薄くなりがちです
ですが、先天性心疾患のポイントは、病名をそれぞれ丸暗記するのではなく、原理を理解すること
そのコツは、先天性心疾患は大きく分けて2種類(かその両方の性質)にです
- 非チアノーゼ性心疾患 心臓に穴があいていて大量の血液が心臓と肺の間を空回りするために心臓や肺に負担のかかる
- チアノーゼ性心疾患 酸素の少ない赤黒い静脈の血液が心臓の穴を通して大動脈から全身に流れるために全身が低酸素状態になっている
の2つ
どちらかというと1.の方が安静時からしんどそうで、2.の方が、泣いたり、いきんだり、風邪などに際ししんどくなることが多いですが、例外もあります
その上で、先天性心疾患のなかでも頻度の比較的多い病気から理解していくのがいいでしょう
動脈管開存症(PDA)
ここの病気についてここで記載しても読みにくくなるので、国立循環器病センターのHPへのリンクを貼っておきます(決してサボっているわけではありませんよ

)
1.の病気では、基本左心系(左房、左室)の方が、右心系(右房、右室)より内部の血圧が高いので、心臓の穴を通る血流は左心系→右心系となります
先天性心疾患の病名ではありませんが、上の分類で1.のうち、心臓と肺の間を空回りしすぎて、肺血管がムキムキになり、肺高血圧になってしまい、逆に右心系の方が血圧が高くなり右心系→左心系となった状態がEisenmenger化といいます いわゆる(1)の病気達の重症系です
なので、この問題は、設問のキーワード=Eisenmengerと選ぶ問題です
その他の選択肢の疾患の解説は、また別の機会に‥