看護師国家試験 2014年(第104回) 午後 第91問 ~第93問
次の文を読み91~93の問いに答えよ。
A さん(45 歳、男性)は、便に血液が混じっていたため受診した。検査の結果、直腸癌 (rectal cancer) と診断され、自律神経を部分温存する低位前方切除術が予定されている。
第 91 問
術後に予測されるのはどれか。
1. 排尿障害
2. 輸入脚症候群 (afferent loop syndrome)
3. ストーマの陥没
4. ダンピング症候群 (dumping syndrome)
第 92 問
術後 1 日。順調に経過し、A さんは離床が可能になった。腹腔内にドレーンが 1 本留置され、術後の痛みに対しては、硬膜外チューブから持続的に鎮痛薬が投与されている。看護師が A さんに痛みの状態を尋ねると、A さんは「まだ傷が痛いし、今日は歩けそうにありません」と話す。このときの対応で最も適切なのはどれか。
1. 体動時に痛む場合は歩行しなくてよいと説明する。
2. 歩行には看護師が付き添うことを提案する。
3. 歩行練習を 1 日延期することを提案する。
4. 鎮痛薬の追加使用を提案し歩行を促す。
第 93 問
術後 6 日。ドレーンから茶褐色で悪臭のある排液があった。A さんは、体温 38.2 ℃、呼吸数 20/分、脈拍 82/分、整であった。A さんの状態で最も可能性が高いのはどれか。
1. 腸炎
2. 胆汁瘻
3. イレウス (ileus)
4. 縫合不全
5. 術後出血
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看護師国家試験 2014年(第104回) 午後 第91問 ~第93問
第92問 解答:4
第93問 解答:4
解説
まずは直腸の手術から
腹膜反転部より上が
高位前方切除術、腹膜反転部より下が
低位前方切除 肛門括約筋すらとらないといけないのが
腹会陰式直腸切断術第91問
で、直腸は仙骨と膀胱や前立腺などの間にあり、手術の時に排尿に関係する神経を損傷するリスクがある手術だと言うこと
なので1 排尿障害
第92問
腹部外科に限らず、実際昔は手術のつなぎ目のために、しばらく安静臥床にしていた そして術後数日してから歩行開始したときに
深部静脈血栓症が肺にとび、
肺血栓塞栓症になっていた
深部静脈血栓症という病気が認識されてから、術後可及的早期に歩くように流れが変わった
この中で、一番術後離床に有用だと思われるのは4鎮痛薬 2看護師付き添い自体は悪くはないとは思うが痛くて歩けないと患者が言っているので4の方がよさそう
第93問
腹部外科の宿命と言うべきか、腸と腸をつなぐ手術なのだが、腸の中はうんちが通過するため、すなわち“不潔”なエリア 清潔でないもの同士を吻合するということで感染率も他の整形や血管外科より高いし、さらに絶食や抗がん剤で免疫力の低下してる患者は傷の治癒力も低下しているので、腸と腸のつなぎ目が埋まらないのが
縫合不全大きな穴の場合は
再手術になるし、小さな穴の場合は
絶食(吻合部をうんこが通らないから治癒が期待できる)
1腸炎はいわゆる”食中毒” 2胆汁漏は肝臓の切り口から漏れた胆汁に感染すること
3イレウスは腸の中をうんこがすんなり通れない状態で、吻合部が狭すぎる場合、吻合部周囲が癒着して狭窄する場合(
癒着性イレウス)、開腹したことで腸蠕動自体がストップしている場合(
麻痺性イレウス)など この手術でも起こりうるが患者の症状的にちょっと違う
5術後出血もありうるが、「茶褐色の悪臭のある液体」と書いてあるので、血液よりうんこを示唆している