看護師国家試験 2017年(第107回) 第 49 問
Aさん(66歳、男性)は、Lewy〈レビー〉小体型認知症であるが、日常生活動作〈ADL〉は自立している。介護老人保健施設の短期入所〈ショートステイ〉を初めて利用することとなった。施設の看護師は、同居している家族から「以前、入院したときに、ご飯にかかっているゴマを虫だと言って騒いだことがあったが、自宅ではそのような様子はみられない」と聞いた。
入所当日の夜間の対応で適切なのはどれか。
1. 虫はいないと説明する。
2. 部屋の照明をつけたままにする。
3. 細かい模様のある物は片付ける。
4. 窓のカーテンは開けたままにする。
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看護師国家試験 2017年(第107回) 第 49 問
解答:3
lewy小体型認知症とは、大脳皮質(神経細胞)に原因不明にlewy小体が沈着し、認知症を来す病気 日本人の認知症の原因として、アルツハイマー、脳血管性認知症についで3位
他の認知症同様、物忘れもあるが、特徴的な症状は幻視、妄想、パーキンソン症状
妄想は被害妄想、誤認妄想 お金やものを盗られた、配偶者が浮気しているといったもの
パーキンソン症状は手指の振戦(震える)、動作緩慢、筋硬直、バランスを崩し転倒しやすい、急に止まれないなどのパーキンソン病と似た症状
幻視がこの問題にあるような症状で虫、こびと、子供であることが多く、現実にはそこにはいない
根本的な治療薬は今のところはない
Alzheimerでも使うアリセプト(ドネペジル、コリンエステラーゼ阻害剤)が認知障害や異常行動に有効とされている
また、パーキンソン症状に対しては、パーキンソン病に準じてレボドパなどの抗パーキンソン病薬を用いる
暗い場所でおこりやすいため、室内の明るさを統一し、影をつくらないことで、幻視や見まちがいを減らす助けになります。
また、壁に洋服をかけない、周囲から目立つものは置かない、壁紙の模様をシンプルなものに変えるなどの工夫も効果的です。
幻視はご本人にとって現実的に見えています。まず、「否定しない、肯定しない」の基本姿勢のもと、そのことを理解し、受け入れることが大切です。「何も見えない」「錯覚だ」などと強く否定したり、感情的な対応はご本人が混乱するだけではなく「妄想」へ発展することもあります。
見えるものによっては恐怖を感じることもあるかもしれません。ご本人の感情を理解した上で安心していただけるよう対応しましょう。また、多くの幻視は近づいたり触ったりすると消えてしまいます。ご本人や介護者が近寄り、触ってみるのも良い方法です。
なので回答は3 部屋の照明をつけたままでもよさそうですが、夜中明るいと、昼夜逆転からさらなるせん妄のリスクとなるため現実問題おすすめできません 実際高齢者の昼夜逆転はどの病院のどの病棟でも一大問題です